大村校 作文担当 野田 和博
近年の長崎県立中検定試験においては、作文は「600字以内」という出題をされます。字の丁寧さや原稿用紙の正しい使い方に始まり、出題内容に沿った意見を書けているか、その意見の筋が通っていることを体験の中で根拠として示せているか、様々な場面における考えや感情を表現する力があるかなど、たった600字の中で書いた本人の力量を多角的に判断されます。以下において、それらの力をつけるために徹底したことの中でもっとも大きい2点を述べたいと思います。
まずは「なぜそのように言えるのかを言葉で表す」ことです。例えばボランティア活動についての問題に対し、「ボランティアは大切だから積極的にやるべきだ」という漠然とした考えだけでは適切に答えたとは言えません。自らの体験をもって、ボランティアの大切さを述べる必要があります。そのために、添削した作文の中に根拠がうすいと思われる点があった場合は、作文を返却するときに毎回必ず「なぜこう思うか」を問うようにしました。このことを徹底して繰り返していくうちに、生徒が「先生、自分の作文を見返したらこの部分の理由があまり書けていませんでした。」と言うようになりました。自分の意見に根拠が足りていないことに気付けば、あとはその部分を訂正していきます。結果として、生徒たちは根拠を伴った作文が書けるようになり、本番では多くの生徒が50点後半~60点をとることができました。
次に「量」です。このことに勝るものはありません。今年度当初、ある生徒が「自主的に作文を書いてきたので見てください!」と言って作文を持ってきました。初めて持ってきた作文は、漢字間違いや原稿用紙の使い方の誤りなど、添削用の赤ペンで真っ赤になるほどのものでした。しかしその生徒は粘り強く何度も何度も私の添削を受け、ついには合格へと結びつきました。実に、100回以上の添削を行いました。他の生徒も同様に、書いて添削した作文を見直したりやり直したりすることを徹底しました。また、類似したテーマが出題された時には、以前書いた作文を思い返しながら書くことができるようになり、生徒たちはさらに洗練された作文を目指すようになりました。
以上の2点には「自らいい作文を書く」という意欲が共通しています。自身の作文の力がついてきたことを実感できれば、「よりいい作文を書きたい」という思いや「この体験や表現を使ってみたい」という試行錯誤の意識が生まれます。来年度も細やかな添削を行って一人一人の成長を見守り、より多くの生徒が合格できるような指導を行っていきます!