合格作文のための指導

諫早本校 作文担当 前田 哲朗

 今年度の入試問題は、マスク使用をふまえたコミュニケーションに関するものでした。土曜講座で扱ったテーマということもあり、落ち着いて自信を持って作文を書くことができた生徒が多かったように思います。言うまでもなく、生徒そして保護者の皆様は合格を願っておられます。私がそのためにできる最良の仕事は何かを考えた結果、究極的には出題される問題に触れてもらうことだという結論に至りました。そこで、今年は例年以上に教材の選定に力を注ぎました。長崎県の入試傾向を基にした結果、そのポイントは大きく二つあることをつきとめました。一つは「出所がはっきりしているデータを用いること」です。主に文化庁や内閣府が公表しているデータをもとにして、ときには私が自ら問題を作成しました。もう一つは「人との関わりをテーマの中心に据えること」です。生徒にはボランティア、地域の人との関わり、そして挨拶など言葉を通したコミュニケーションについての作文を書いてもらいました。

 また、入試問題には「自身の体験」を書くよう条件が付けられています。これは、受験生が作文の中で伝えるべき「自身の意見」の理由となる大変重要なものです。ですから、その指導が最も大切だといっても過言ではありません。特に作文の点数で伸び悩む生徒は、体験部分の過不足で苦しみます。「過」は、意見と関係の薄い余計なエピソードを書くことを意味します。また「不足」は、意見とのつながりが薄いことを意味します。この塩梅は一朝一夕で身につくものではありません。そこで、通常の授業や季節講座などで実際に作文を書いてもらう中で、その感覚を養ってもらいました。 聞き取りできた範囲ではありますが、合格・不合格関係なく概ね8割台の得点率だったことからも、指導の存在価値はあったと自負しております。来年度も引き続き指導に励みます。