作文指導についての実感

愛野校 作文担当 柴原 陽平

 この文章では、私が作文を指導するにあたって、率直に感じたことや反省点などを述べたいと思います。

 作文の授業にあたっては、生徒が書いた作文を添削するという指導が中心となります。そのためには、まず作文を書きあげてもらうことが必要になりますが、誰もが入試問題で求められるような600字程度の作文を最初から書くことが出来るわけではありません。したがって、入試までの時期を逆算し、時期に応じた授業を行いました。

 具体的には、6年生の夏休みまでは、こちらが積極的に何をどのように書けばよいか(作文の構成や具体的な書き方の例)を示し、生徒にはそれをまねして書いてもらうような授業をしました。ここで良かったと思えるのは、どの生徒も「作文の型」を習得できたことです。第一段落に「自分の意見」を、第二段階に「体験」を、第三段階に「まとめ」を、といった形で書くことが習慣になり、少なくとも「何も書けない」という状態は脱することができます。また、作文を書く前の「下書き」作りを徹底した授業を合わせて行いました。

 具体的には、作文を書き始める前に、意見は何か、体験は何を書くのか、まとめはどう書くのかという内容について、簡単な下書きを完成させるように指導しました。合わせて、下書きを完成させてから作文を書き始めることも指導しました。この結果、ほとんどの生徒が書く内容について、下書き段階で意見、体験、まとめという全体のつながりについて確認するようになったことから、作文全体がまとまりを持つようになりました。

 また、先に下書きを書いていることから、作文上の書き間違いや言葉のもれが少なくなりました。今年も、6年生から入塾した生徒でそのような例がありました。その子は入塾した当初作文を全く書き始めることができなかったのですが、夏休みごろには400字~500字の作文をしっかり書けるようになりました。

 これに対して、6年生の9月以降は実践的な練習が中心となります。ここではあらゆるテーマに対応する力をつけることが大切です。この段階では作文を「書ける子」と「書けない子」の差が極端に出てくるように感じます。「書けない子」に見られる傾向として、①問題文の分析が雑で、出題の趣旨から外れた作文を書く、②問題のテーマに応じた体験を思い出せない・具体的に書けない、というものが挙げられます。

 ①の場合は、添削をする時に、「問題文のどの条件を落としているか」や「どのような作文を書いたら良いのか」を、生徒とともに確認しました。その際、生徒にもう一度問題文を見てもらい、生徒自身に考えさせるようにしました。また、やりなおしの作文を書くように指導しました。何度もやり直しをすることになった生徒もいますが、「問題文を雑に読んではいけない」という意識を、多くの生徒が持つようになりました。これは高得点を取るためには不可欠なものだと思います。

 これに対して、②の場合は、指導の難しさを感じます。この場合、生徒は「体験がない」と言います。そこで、いろいろな具体例を挙げて説明をし、やり直しの作文を書いてもらいますが、最終的に生徒自身の力だけでできるようになるところまで持って行くことは難しいです。ただ、個人的には「体験がない」ということはないと思っています。もちろん、日ごろから地域の行事に参加するなど、記憶に残りやすい体験をすることは大切だと思います。そのため、ご家庭ではお子様にいろいろな体験をさせてほしいと思います。しかし、体験をしっかり書ける子は日常的な出来事(登下校時のことや学校での友達との会話など)を上手に作文のテーマと結び付けることができます。本番の試験で高得点を取ることができた生徒は、このような生徒が多かったように感じます。

 私自身の指導を振り返って反省するべきところは、テーマに合わせてさまざまな体験が書けるというところまで成長させられなかった生徒がいたことです。2,3の体験しか書けないとなると、対応できない場合が出てきます。この点については、日常の出来事をノートに書くことを宿題として出し、「体験まとめノート」を作ると良かったのではないかと感じました。